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自宅を相続するなら遺言書がマスト?考えておきたい自宅の「遺し方」

「遺言書」がなければ自宅を相続できないわけではありません。しかし、不動産はとくに分割しにくい資産であることから、遺言書がないと相続人が揉める可能性は高くなります。

相続人間のトラブルを回避して自宅などを引き継ぐ場合、遺言書は“マスト”だといえるでしょう。一方で、不動産のまま遺さないという方法も考えられます。

3つの相続方法と「遺言書」の重要性

相続の方法は、次の3つに大別されます。

  • 法定相続
  • 遺産分割協議による相続
  • 遺言書による相続

「法定相続」とは、民法で定められた人が定められた割合を相続することを指します。遺産分割協議によって相続人が話し合い、法定相続以外の方法で相続することも可能です。

一方、遺言書がある場合は、原則的に遺言書に書かれていることが優先されます。

「公平に分割」「相続人で話し合い」は、実は揉めやすい

不動産は、複数に分けることが難しい資産です。「共有」という形で分割も可能ですが、共有不動産はすべての共有者の意思がなければ活用や売却ができません。たとえば、1人の相続人が「売りたい」といっても、別の1人が「貸したい」「住みたい」といえば売却はできないのです。

相続人は、多くの場合、一人ひとりが世帯を持っており、別の場所で暮らしています。法定相続は公平性が保てますが「1/2」など割合が決められているため、不動産など分割しにくい資産はどうしても共有分割になりがちです。

一方、話し合えば解決できるというわけではないのが、相続の厄介なところです。お互いの希望や主張が異なれば話し合いは並行線となり、不動産の相続登記ができなくなってしまう可能性も否定できません。現に、決して少なくない不動産が、遺産分割協議がうまくいかないことで空き家と化してしまっています。

遺言書は相続人にとってなににも変え難い「故人の明確な意思」

遺言書は法的にも優先されるという性質を持っていますが、相続人にとって何より大きいのは故人の意思」が明確にわかることでしょう。相続人の多くは、故人の希望を尊重したいと考えているものです。遺言書は、相続人にとって大きな「指標」となります。

遺言書によって、誰に、どの資産を、どのように相続して欲しいかを明確にしておくことは、被相続人の希望を叶えると同時に、相続人のためでもあります。

遺言書の3つの書き方

法的に有効な遺言とするには、次の3ついずれかの方法で遺言書を残しておかなければなりません。

遺言書の形式 作成方法 ポイント
自筆証書遺言 遺言者が全文を手書きし、押印する。財産目録はパソコンによる執筆や代筆が可能。 ・証人が不要で費用もかからない

・紛失・改ざんの恐れがある

・内容の不備が見られる可能性も

公正証書遺言 公正役場で証人2人以上の立ち会いのもと、公正人の筆記により作成してもらう。 ・遺言書が無効になる可能性が低い

・紛失・改ざんの恐れがない

・費用や手間がかかる

秘密証書遺言 署名・押印した遺言書に封をし、公証役場で証明してもらう。 ・遺言書の内容を秘密にできる

・内容の不備が見られる可能性も

・費用がかかる

「空き家になったタイミング」で不動産を手放すという選択肢も

相続人間のトラブルを避けるための対策として、「故人の意思を明確に伝えるため遺言書を遺す」ことの他に「自宅を換価して遺す」方法が挙げられます。

所有者が高齢者施設に入所する際など自宅が空き家にタイミングで売却すれば、当人の老後資金に充てられるとともに、分割しやすい金銭で相続することで相続人間のトラブルも発生しにくくなります。

加えて、「相続人」ではなく「所有者」が売ることで「マイホーム特例」が利用できるという大きなメリットもあります。

マイホーム特例とは?

マイホーム特例とは、譲渡所得を最大3,000万円控除できる特例です。譲渡所得とは、簡単にいえば売却益を指します。

古くから所有していた家は、地価が安いときに購入していたり、購入費用が不明になっていたりすることも多く、売却益(譲渡所得)が発生することで高額な税金を納めなければならないことも少なくありません。

譲渡所得に対する課税率は、20.315%。(所有期間が5年を超えている場合)たとえば、1,000万円の譲渡所得が出た場合の税額は200万円以上におよびますが、マイホーム特例が適用になれば税額はゼロです。

マイホーム特例とは、その名の通り「マイホーム」の売却しか適用されません。また、所有者が売却する場合であっても、住まなくなった日から3年を経過する年末を過ぎれば適用されません。つまり、相続人はマイホーム特例を使えず、空き家になって落ち着いてから……と考えているうちにも適用期限が切れてしまう可能性があります

自宅の遺し方を考えるにあたっては「正しい価値」を知ることが大切

どのような方法で自宅を遺すとしても、所有者はまず自宅の「価値」を知っておくことが求められます。正しい価値がわかってこそ、遺し方を検討することができます。

不動産の査定は無料です。自宅が空き家になること、相続することはなかなか考えにくい問題ですが、価値を知ることがご家族で話し合うきかっけにもなるはずです。

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